善悪は人に生まれついた天性
苦楽は各自与えられた天命
しかし天輪を恨むな、理性の目に見れば、
かれもまたわれらとあはれは同じ。
然るに、現在の知識人の大部分は真理を虚偽にすり替え、誤魔化しと見栄えとを排撃しようともしない。彼らは自らの有するわずかばかりの知識を利己的な卑しい目的のために利用している。そしてもしここに真理の探究と正義への愛とにおいて立派な人物があって、虚偽を払いのけ、誤魔化しを棄てようと努めるとすれば、彼は嘲笑と憎悪の的となるのである。
(「代数学問題の解法研究」オマル・ハイヤーム)


優れた知性と共にあるニヒリズムの行き先は、極端な快楽主義か、極端な求道のどちらかでしかありえない、というのが私の持論である。
これらの知性が包括するニヒリズムの根底にあったのは、おそらく同じような現状認識に違いない。
だが同じ苦悩から生まれた両者であるのに、これら二つの相反する知性が、現実社会においては不倶戴天の敵対者となるのが世の中の面白い所であり、また悲しい所でもある。
それは結局の所両者が支配者であったとしても、所詮マイノリティでしかないからである。